コラム Column

悠々読書記

悪気がなくても人を傷つけてしまうことはある<ギリギリ>小説

2016年05月30日 執筆

ギリギリ

作者:原田ひ香
出版社:角川書店

本書の帯に
「現代的な人間関係の真髄をていねいにすくい取った感動作!」
と、ありましたが、読んでみると
“感動”はしませんでした。
でも、ジワと何かが染みてくる感じがしました。
その感じは“感動”ではないのですが、
なんだかいい感じがする・・・という印象でした。

この小説の中には、近くに実際にいたら、
ちょっとどうよ・・・と思う人は出てきますが、
絶望的に嫌な人は出てきません。
そんなところも好感が持てました。

そして、何かが決定的にダメなワケではないけど、
緩やかに人を傷つけることもあるんだ、
というリアル感といいますか、
自分も知らないうちに人を傷つけているかもしれない
という不安も沸いてきました。

そんなどこかに極端に寄るわけではない
ギリギリの感じがこのタイトルなのかと
思いながら読み進めていましたが、最終章で
あ、違った!
と、気付きました。

もう一つ驚いたのは、
本書は5つの章で描かれているのですが、

「アナログ」は2014年11月号の小説野生時代
「モヒート」は2015年1月号の小説野生時代
「スカイプ」は2015年4月号の小説野生時代
で掲載された短編で、
残りの「シナリオ」「ギリギリ」が書き下ろしだったということ。

短編が組み合わさってできた一冊という印象がなく、
丸ごと書き下ろしだと思い込んで読んでいました。

確かに、そう言われれば、章ごとに語り手は変わっているけれど、
書き下ろしでもそういった手法はありますし、
一冊の本としてのまとまり感がありました。

2016年1月12日読了

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