悠々読書記
改題は正解だと思う<名前も呼べない>小説
2016年06月02日 執筆
名前も呼べない
作者:伊藤朱里
出版社:筑摩書房
太宰治賞受賞作なのだそうです。
受賞時は「変わらざる喜び」というタイトルだったのが
「名前も呼べない」と改題されているようです。
本を読み終わってみると、
改題後のタイトルの方が、
内容によりマッチしているように感じます。
それに、
「名前が呼べない」
ではなく
「名前も呼べない」
だからこそ、名前すら呼べないとは
一体どんな理由があるんだろう?
と思ってしまうような、意味深な雰囲気が漂っています。
本書は、タイトルにもなっている
名前も呼べない
と
お気に召すまま
の2本で構成されています。
双方の作品とも、心にゆがみを抱える主人公が
静かに、でももがいて、立ち止まり、
そして、立ち上がるまでが描かれています。
大団円で終わる物語ではありませんが、
その先を感じて、その余韻が良かったですね。
人は誰しも何かしらのゆがみを持っていて、
それとどう向き合っていくのかなのでしょう。
2016年2月17日読了